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ビッグバンから最初の星が生まれるまで

今から約138億年前、ビッグバンとともに宇宙が生まれました。

ビッグバンは原子より小さな超高温・超高密度エネルギーの膨張です。そこから時間と空間が生まれました。

現在の宇宙の全ては、そのはじまりの一点に集約されていました。

最初の宇宙は光として存在していたと考えられています。

宇宙が膨張して1000兆度まで冷めたとき、素粒子に質量を与えるヒッグス粒子がはたらいたことで

宇宙に粒子が存在できるようになりました。

その後、"対生成"という、光子同士の衝突によって、粒子と反粒子を生み出しました。

反対に、粒子と反粒子が衝突して光子を生み出す、”対消滅”も起こしました。

反粒子とは、ある粒子と同じ重さで、正反対の電気的な性質をもつ粒子です。

粒子と対消滅してすぐに消えてしまうので、現実では観測できません。

超高エネルギーの宇宙で、粒子は対生成と対消滅を繰り返し、様々な粒子が生まれては消えて行きました。

本来、粒子と反粒子は同じ数しか存在しないはずですが

何らかの偏りによって、10億分の1だけ粒子が残ったと考えられています。

この残った粒子が、現在の宇宙の物質を形成しています。

宇宙が冷めていく過程で、様々な粒子がかわるがわる宇宙を満たしました。

宇宙のエネルギーの大きさによって、対生成される粒子の種類が異なるのです。

○クォーク時代

ビッグバンから10^(-10)秒後、1000兆度のとき、クォークが生まれました。

クォークは陽子や中性子のもととなる素粒子です。

○ハドロン時代

ビッグバンから10^(-6)秒後、さらに温度が下がり

クォーク同士が結合し、陽子や中性子などのハドロンを形成しました。

○レプトン時代

ビッグバンから1秒後、もっと温度が下がり、レプトンが生まれました。

レプトンの代表には電子がいます。全部で6種類のレプトンがあります。

○光子時代

ビッグバンから10秒後、光子による対生成は起こらなくなり、宇宙は光子で満たされます。

これまでの対生成のなごりとして、単体の陽子(水素イオン)や中性子、電子が存在していました。

ビッグバンから3分〜20分後、宇宙の温度は核融合に適した温度になり

陽子と中性子が結合して、重水素の原子核が生まれました。

重水素にさらに中性子が結合すると三重水素の原子核が生まれました。

三重水素の中性子がβ崩壊して、中性子が電子を放出し陽子に変化することで、ヘリウム3が生まれました。

ヘリウム3は中性子と結合してヘリウム4が作られました。

​ヘリウムより重い質量の原子核は不安定で、この時代に作られることはありませんでした。

○宇宙の晴れ上がり

ビッグバンから約37万年後、3000度にまで冷えた宇宙では

プラズマ状態でバラバラだった原子核と電子が結合して、水素原子とヘリウム原子が生まれました。

このとき宇宙の密度は急激に下がり、光子は電子によって散乱せず、まっすぐ進めるようになりました。

この現象は、これまで宇宙にかかっていた霧が晴れたようなので、宇宙の晴れ上がりといいます。

○宇宙マイクロ波背景放射(CMB:Cosmic Microwave Background)

”宇宙の晴れ上がり”によって直進できるようになった光子は、現在も運動を続けています。

宇宙の膨張とともに波長が伸び、温度が約-270度まで下がった光子は、あまねく今の宇宙に存在しています。

この光子のことを”宇宙マイクロ波背景放射”といい、ビッグバンが起こった証拠となりました。

○恒星の誕生

宇宙の膨張にともなって密度と温度が低下していくと、物質の分布に濃淡が生まれました。

密度が高いところでは、万有引力の法則(重力)によって、どんどん物質が集まります。

ある密度に達すると、主に水素分子でできたガスの球ができ、これを”第一のコア”といいます。

第一のコアは重力によってさらに密度を上げ、運動する分子の衝突によって温度も高まります。

温度が2000度程に達すると、水素分子は解離してしまい、密度が下がったコアはさらに収縮します。

そして、水素原子と電子が完全に分離してできたガスの球を、”第二のコア”といいます。

○円盤の形成

分子のガスが集まってできたコアは自転をしています。

自転のきっかけは、男の子と女の子がお互いに向かって走っていき

手をつないで回っていると考えるとわかりやすいです。

大きくなったコアの周りには、重力によって小さながガスや塵が集まります。

周りのガスや塵の運動と、コアからの重力がつりあったとき、軌道が出来上がりガスや塵は公転をはじめます。

コアの重力によって、周りのガスの径はどんどん小さくなっていきます。

恒星と周りのガスの径が小さくなると、はやく回転するようになり、遠心力が増していきます。

コアの回転軸と垂直方向では、ガスや塵は遠心力によってコアからの重力に抵抗します。

そうして、丸いピザ生地からピザが形成されるように、恒星の周りに円盤が形成されます。

これを”降着円盤”といいます。

○主系列星になるまで

コアはどんどん質量を増し、円盤の一部は強い重力によってもの凄い勢いでコアへ落下します。

そうしてさらに質量を増し、強すぎる重力によって落下したガスや塵は、熱を放射するようになります。

質量の増加が止まると、自身の重力によって内部で温度を高めていきます。

約1500万度に達したところで水素核融合が起こり、”原始星”だった恒星は”主系列星”と呼ばれるようになります。

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